第17回 近江郷土を訪ねて「新発見・再認識」       文責 岡田 稔

今年も5月20日(日)、滋賀県人会でふるさと「近江八幡と長浜」を訪ねることになりました。近年になく日々の寒暖差10度以上と厳しい今日も、「寒いね」を挨拶言葉に金沢駅を7時前に出発し、途中、松任のCCZからは会長はじめ会員、準会員(私の独り言)が乗車され、総勢31名の大勢で(過去とタイ記録)で一路近江へ。彦根インターで高速道路を下車し、彦根城を望見しながら琵琶湖沿いの水辺湖岸道路を懐かしく眺めるうちに、近江八幡の宮ケ浜近くの押切新港へ予定どおり10時15分頃到着。ここより対岸に見える沖島目指して、チャーター便の船に約10分乗船したが、小波さざめき身体もふらつき加減で沖島漁港に上陸。ここが、日本の湖の島の中で唯一多くの人々が生活し、小学校まで現存している沖島かと実感できました。実は私個人はこの島から直線で4Km離れた長命寺町で生まれ5歳まで育ちましたが、当時は、山後ろで見たことも行ったこともない別世界の島のイメージでした。でも、当時から島には小学校があり、中学校へは、我々と同じ八幡中学校へ本土留学されているのは知っていました。今、こうして、66年後に生の沖島を見学できましたが、じっくりと探索するとおもしろい島でした。

地元ボランティアの「てんびんガイド」2名の方に2班に分けて案内してもらいました。島は周囲7Kmで現在、約120世帯、人口は280名余、そして公共的施設は、沖島小学校(在校生19名)・幼稚園、沖島コミュニティーセンター、消防団本部、漁協会館、郵便局などがありますが、交通手段は道幅が2〜3mですので三輪や二輪の自転車のみで、そのサドルは雨除けのため、四角いブリキ缶がのせられていました。最近その様子がテレビ放映されたそうです。そうして、人家群の中の狭い道ならぬ通路を歩いていくと、ガイドさんが皆に、口に人差し指を立てて「しっー」と言っています。それは、付近の住人は今、朝寝中であるため静かにということで、早朝、琵琶湖の漁に出て行って帰ってきて睡眠中だからということであったが、ここは漁業で成り立っている島を再認識させられました。

通路突き当りの急な階段の上には、藤原不比等の建立によると伝わる「沖津島神社」社殿が、その門前の鳥居の扁額は憲政の神様と呼ばれた「尾崎行雄」の書とのことから、人が住むようになったのは約850年ぐらい前となり、驚きと畏れおおいことに、ある意味立派な島が今も受け継がれていることに感動を覚えました。その次に迷路を歩き、西福寺を訪問。この寺には、約540年前の室町時代、越前吉崎御坊から堅田に向かわれる蓮如上人が湖上の暴風を逃れるため沖島に逃げられた折、漁師の女房の霊を慰めんがため、新筵に「南無阿弥陀仏」と染筆されたお名号などの宝物が安置されている説明に、改めて、親近感や歴史の重さを体感しました。道ならぬ通路を巡り、漁港に戻り漁業会館で「湖東婦貴(ことぶき)の会」手造りの湖魚(うろり、モロコ、イサザ、スジエビなど)の佃煮や琵琶湖特産のニゴロブナの鮒寿司など、皆様方は買い占めンとばかりにハッスル。島には他のお客もあり、何かしら活気付いた感じで、私はまた来たくなりながら、宮ケ浜国民休暇村ホテルへ。

ホテルでの昼食は柔らかい近江牛だけかと思いきや、琵琶湖魚の「佃煮八珍」やビワマスのお造り、さらには小鮎のテンプラなどたいへん美味なお料理にジョッキや焼酎を重ねる人々で今回の旅も大満足。

目が覚めたら、いつの間にか長浜の慶雲館に到着。明治19年(1866年)秋、明治天皇皇后両陛下が京都行幸啓の岐路に大津から船を利用し長浜に上陸され、一時休憩されるとの知らせに、浅見又蔵翁の私財を投じわずか3か月で造られた館で、命名は同行した初代内閣総理大臣・伊藤博文との説明にうなることしきり。この説明者は、輪島出身で滋賀在住との縁とのことで、説明にも熱が入っていました。そして、最後に私が今回特に希望していた「白洲正子」推薦の渡岸寺の国宝十一面観世音の拝観を目指してお寺に到着。受付では、「あと15分で閉門します」と言われ、入館料400円も払ったのだからとここは交渉のしどころと、近江ゆかりの大勢31名が訪ねてきたことをしつこく説明陳情したら、「じゃちょっとだけ(延長)ですよ」と言われ、後も見ず本堂目指したが、そこには居られず、収蔵宝物館的な建物へ足早に急ぐ。入り口は、タッチ式の大きな自動扉で、私がタッチしたら扉が開き、なんと不思議や、そこには私の元上司で大恩人がすくっと立って、私の顔を見て思わずニッコリ。これには小生もまいった参った。これぞ仏のお導きと悟る。挨拶もそこそこに目の前の十一面観世音菩薩にお参りしつつ、うっとりと眺め廻ること3回転。皆様方も何回も廻って感銘しきり。おまけ?に15分の説明録音を聞き、やむなく退出しましたが、ここは、私にはいつでも機会がありますので、是非再度ゆっくり拝観することを楽しみに、全員無事に帰途につきました。追伸ですが、帰路の車中で、杉本会長から、来年は6月2日(日)、何人かの希望者があり比叡山延暦寺を中心に計画しますので、皆様のご参加を呼び掛けられていましたが、今回も会長が中心になり計画され関係者のご協力にも感謝しながら報告とします。合掌!

                     押切新港                                  













    定員61名のチャーター船                      船内













                         船内様子

             漁港会館                                    













                               てんびんガイドのガイドさん

                 島内道路                                                 

                                                      沖津島神社  













     自転車サドル雨除け                         西福寺 













           蓮如上人像